インボイスでデータ整備が必要な訳
ヒューマネテック データマネジメント

インボイスでデータ整備が必要な訳

4月に入り、春らしくなってきました。
春は気持ち良い時期ではありますが、私には花粉が地獄です。。。

 

さて、これから色々とデジタルデータについて書かせて頂く予定ではありますが、まず初回は、直近の課題でもあります「インボイス」について書かせて頂きます。
ただし、インボイス制度について説明するのではなく、「インボイス番号」の調査の難しさについて説明いたします。
是非、ご担当者だけではなく、片手間では難しい調査についてご理解頂けると幸甚です。

 

2023年10月から始まる、インボイス制度。
すでに皆様のご存じの通り、インボイス制度とは、「適格請求書保存方式」のことですが、
日本では、仕入税額控除の方法として、1989年の消費税導入から「帳簿方式」、1997年から
「請求書等保存方式」が採用されていました。
今回は、軽減税率制度の導入されたことに伴い、インボイス制度が導入されますが、実は、
その経過措置や計算方式だけではなく、「インボイス番号」を把握する必要があります。

 

・インボイス番号とは
1.法人番号を有する課税事業者
「T」(ローマ字) +法人番号(数字13桁)※1
2.上記以外の課税事業者(個人事業者、法人格のない社団等)
「T」(ローマ字) + 数字13桁(※2)
※1法人番号(国税法人マイナンバー):「法人の基本3情報:①法人番号
②商号又は名称③本店又は主たる事務所の所在地」を保持している
※2その他は、法人番号と重複しない番号を付与
→個人事業者は、個人のマイナンバーが使用出来ないため

 

新規で登録される仕入先であれば、都度調べて(法人番号とインボイス登録の調査)登録すれば良いのですが、これまでにお付き合いのある仕入先のインボイス番号も調査する必要があります。
仕入先の数が少なければ問題ありませんが、製造業を始め、多くの仕入先をお持ちの企業においては、膨大な社数を調査する必要があります。

 

我々も某企業様のインボイス番号調査をお手伝いさせて頂きましたが、ツールだけでは難しく、人間による目検調査も必要であることが良く解りました。
それはどういう事か?と申しますと、通常システムに登録されている「仕入先」データですが、どの様に入力されているかご存じでしょうか?

 

住所は正確に入ってますか?そこは本社ですか?
入力の単位は法人単位ですか?それとも営業所単位ですか?
株式会社だけですか?有限会社が仕入先ではありませんか?
個人事業主が混ざってませんか?
吸収合併などで、閉鎖されてませんか?移転していませんか?

 

…そうなんです、あまりちゃんと見たことは無い方が多いと思います。

 

インボイス番号をツールで自動取得することを謳っているサイトを散見しますが、そもそもインボイス番号は一回の検索で調査出来る訳ではありません。
国税の法人番号の調査を行ったあとで、インボイス登録されているか否かを確認しますので、2段階になります。
また、前述の通り法人番号に登録されている、「社名、住所」と一致していなければ、法人番号は判別できませんので、ツールの精度にもよりますが、全ての仕入先に法人番号を自動で付与することは出来ません。
おおよそ、60~70%付与出来れば、上出来ですが、付与された法人番号を何の検証もすることなく信じるのは正確性に欠ける場合があります。

 

我々は、こういったデータの状態によって引き起こされる問題に対し、データを確認した上で、パターン別に振分け、ツールのみで大丈夫なデータと、人手による調査が必要な場合を切り分け、より正確に付与する事に成功しました。
当初、仕入先にハガキか封書を送って確認する方法をお考えであった某企業さまは、その件数の多さに、通信コストもさることながら、返信後の自分たちの入力作業を考えると、とても時間が割けない状況になると判断され、我々にご依頼頂く運びとなりました。

 

経理・財務担当の皆様は、インボイス対応はその未来の難しさもさることながら、これまでの仕入先の対応も考えなくてはいけない状況であることを理解していらっしゃると思いますが、「ツールで簡単に出来る」とか「そんなことに予算なんて割けない」とか「自分たちで入力すれば良い」とか色々難しい面があるかと思われます。

 

経理・財務だけではなく、これを機会に全社で「法人番号」を付与することを考えてみるのはいかがでしょうか?
どうせ調べるのであれば、取引先全てを対象とすれば、「法人番号」を利用した様々なデータ分析にも活かせるのではないでしょうか?

 

顧客・商品といった「MDM」(マスタデータマネジメント)を始めるきっかけとしての「インボイス対応」。
ご検討いただけると、経理・財務の方々も少し安心出来るかもしれませんね。

 

それでは、今回はこの辺で終わります。